秋田県/みんなで考える住まいづくり
「良質木造・コスト低減住宅」

       平成9年度、秋田県主催の「コスト低減住宅提案募集事業」で当社の提案が『特選』をいただきました。

  
  





 良質木造・コスト低減住宅の主旨
良質の家を造るには、成熟した建築技術、安定した部材供給、現代の住環境に柔軟に対応するプランニングが必要です。
秋田には、高度な技術をもった職人がいます。また杉という耐蟻性があり加工性が良く木肌が美しく香りのよい木材があります。
このようなロケーションの地では、在来工法で地場の材料を使った家造りが最適に思われます。
しかし、現在の家造りは、デザイン・機能先行でデコレーションケーキみたいな家になってしまっています。
もう一度、秋田の生活に根ざした先人の知恵を借りたいと思います。
大黒柱、大梁、座敷などの続きの間、天井がない広間の吹き抜け、これらは住まい方のヒントにもなりますが、コスト低減にも大きな意味をもっています。
昔は、家を造る前に基礎下の土、土間の土を突き固めました。そこで基礎はベタ基礎で独立基礎を主要柱の下に配置し耐震性をもたせ、床下空間は設備配管のメンテナンスや、夏涼しく冬暖かく過ごすための、換気や蓄熱に利用できないかと思います。
また、現在の家の派手な塗装や内装、設備にも一考の余地があるように思われます。
設備軽減のためには、やはり高気密高断熱の手法を用い換気をよくするのがベストです。
木造の塗装は、米糠あぶらの手垢止め程度、着色したい場合は紅ガラや柿渋などの天然素材を使いエコロジーな家にしたいものです。
 良質木造・コスト低減住宅の手法
 ハードプランニング(構造・工法)とソフトプランニング(内部外部デザイン・間取り)の分離により、ハードプランニングを規格化できる。(図参照)
その規格化としては
    単純な平面プランとする。(矩計・総二階)
    在来民家に良くある田の字型の座敷を参考に2間×2間(8帖間)を基本とする。
    大きな吹き抜けを準備し、換気暖房採光の核とする。
    構造材と仕上下地材を区別する。(角材と小割材の役割分担)
    大黒柱や大梁を使用して使用部材を少なくする。(当然仕口継ぎ手の数が減る)
    矩計の規格化をおこなう。屋根裏の空間を室内空間に取り込み、建物全体の容積に居住空間の占める割合を大きくする。
        (基礎上より胴差上端まで10尺・胴差上端より桁上まで7尺)
    土台と1階床下地根太の高さ、胴差と2階床根太の高さをそろえる。(剛性の確保)
    布基礎のベースの位置でベタ基礎とする。主要な柱の下には独立基礎を設ける。
ソフトプランニングは、施主の希望を取り入れる
    間仕切壁には垂直荷重を架けないで、ライフスタイルに合わせて自由に移動できるものとする。
    (組立・解体をシステム化する)
    外部の個性的なデザイン(玄関・テラス・バルコニー)は母屋に後施工する。
    内部のデザインは建築的に処理しないで家具や装飾品で対応する。
    内装仕上材は、エコロジーな建材・塗料を用いる。
地元の工務店や設備店、仕上業者の技術、人材で施工、メンテナンスできる建物とする。
地産地消(地元産出品を地元で消費する)を基本とし、矢島木材乾燥のならフローリングやAPフロアー、吉野石膏の石膏ボード、能代生産の天井板、五城目の羽目板などを使用する。
外壁通気工法、屋根面通気工法、棟換気、防湿層を設け、高気密高断熱住宅とする。
家の中心に大きな吹き抜けを設定し、天窓、間仕切壁の窓等でパッシブな換気を考慮する。
 良質木造・コスト低減住宅の手法に基づいたハードプランニング


 




室内空間を豊かにしながら全体の高さを抑えて建設コストを低減
床下空間にFFストーブ1台で全館暖房



 




基礎の合理化ベタ基礎+独立基礎 大黒柱使用で構造の合理化

 






大梁・大黒柱使用で構造の合理化 尺間モジュール



上記手法による効果(延床面積44坪の住宅の場合)

ハードプランニング(在来工法・在来の金物木材を使う)の規格化(尺・間による単純化)により大工手間を坪3人工程度に抑える事ができる。
 ※198万円の軽減
   2.5人(軽減手間)×44坪×18,000円(標準的な大工手間)=1,980,000円
矩計の規格化で、外壁面積を少なくすることができる
 ※17万円程の軽減
   外壁軽減 0.9m(軽減高さ)×36m(外周部)×3,000円=97,200円
   足場軽減 0.9m(軽減高さ)×36m(外周部)×1,000円=32,400円
   塗装軽減 0.9m(軽減高さ)×36m(外周部)×1,400円=45,360円
建物容積を少なくでき小屋裏を中心に使用木材が軽減できる。
 ※19万円程の軽減
   0.3石(坪あたりの軽減木材)×44坪×15,000円=198,000円
大壁造りとなるので、造作材を軽減できる
 ※35万円程の軽減
   0.1石(坪あたりの軽減木材)×44坪×80,000円=352,000円
設備工事が、床下空間を利用することにより配管手間材料が節約できる
 ※20万円程の軽減
地産地消の流通コストの低減ができる
 ※10万円程の軽減
簡易な冷暖房器具(ストーブ・エアコン各1台)、簡易な換気システムを利用
 ※30万円程の軽減

提案住宅の標準仕上げ表
(自由プランの注文住宅なので、仕上げは敷地条件、建築条件、建主の注文によって変化する)

外部  屋根     カラーベストコロニアル(役物 ガリバリウムカラー鋼板10年保証品
     天窓     ベルックスウインドー(必要な場合 網入りガラス)
     軒天     防火ライト張り上げ AEP塗装
     外壁     窯業系サイディング(ラップ横張り標準) AEP塗装
     建具     出窓、小窓/断熱木製サッシ(トステムアンダーセン同等)
             テラス戸  /引き違いプラスチックサッシ(マイスター同等)
             玄関戸  /木製断熱玄関戸
     基礎     鉄筋コンクリート 外部 防水塗布(バンデックス同等)
     玄関ポーチ 100角磁器タイル

内部  天井     寝室、子供部屋、トイレ         /杉板張り 米糠あぶら拭き
             居間、台所(火気使用室)、サニタリー/タイガーボード下地 エコロジークロス
     廻り縁    杉 米糠あぶら拭き
     内壁     腰壁、手摺兼用/杉板張り 米糠あぶら拭き
             幅木       /杉 米糠あぶら拭き
             腰上       /タイガーボード下地 エコロジークロス
     床       洋間/フローリング貼り ウレタン塗装 (矢島木材乾燥・APフロアー)
             和室/畳(エコロジー畳)
             玄関/100角磁器タイル  幅木 100角磁器タイル

主要な住宅設備の仕様

流し台     I型長さ2,700のシステムキッチン 吊り戸付(シロッコファンのレンジフード)
浴室      1坪タイプのシステムバス
トイレ      1階2階各1カ所(1カ所はウォシュレット便器)
洗面      750間口の洗髪洗面台
給湯器     灯油ボイラー(追い炊き機能付)5カ所給湯
ストーブ    FF式灯油ストーブ 灯油配管で給油
エアコン    家庭用単相 200V冷暖インバータエアコン

予想工事費単価
  475,000
円/坪(144,000円/u
  
市場価格550,000円ほどをコスト低減で475,000円




 HOME   スマホHOME